ADR(えーでぃーあーる)
American Depositary Receiptの略称で和訳は米国預託証券。「外国企業・外国政府あるいは米国企業の外国法人子会社などが発行する有価証券に対する所有権を示す、米ドル建て記名式譲渡可能預り証書」である。ADRの預かり対象は、通常は米ドル以外の通貨建ての株式であるが、制度的にはあらゆる種類の外国有価証券でも可能である。
1928年のADR創設当初の趣旨は、米国人投資家が外国株式への投資を容易にする仕組みを提供することであり、ドル建てでの売買や配当支払を可能としたことがADRの発展に大きく寄与した。
現在では、当該外国企業に関して米国企業なみのディスクロージャーも求められており、より一般的な投資手段になっている。一方、投資対象となる企業にとっては、米国での知名度向上に加え、資金調達等の経営財務目的のためにも利用される。
ADRはそのプログラムにより、スポンサーなし(Unsponsored)ADRとスポンサー付き(Sponsored)ADRに分かれる。
スポンサーなしADRは、原則として外国企業の意思とは無関係に米国証券会社と米国預託銀行が主体となって設定したものであるが、1983年以降は当該企業の最低限のディスクロージャーは必要となった。スポンサー付きADRとは、外国企業が主体となって、米国預託銀行と預託契約を結ぶことで設定され、資本調達の有無と開示の義務により、レベル1、レベル2、レベル3に分けられる。