流動性のジレンマ(りゅうどうせいのじれんま)
特定の通貨を基軸通貨として固定する金為替本位制の下では、基軸通貨の流動性向上とその信認の維持は両立が難しいという説。米経済学者ロバート・トリフィンによって指摘されたため、トリフィンのジレンマとも呼ばれる。
1945年のブレトンウッズ体制で米国のドルは唯一金との交換が保証された基軸通貨として位置付けられたが、世界経済の成長に伴う国際流動性の拡大で大量のドルを供給し続けた結果、米国の国際収支が悪化。金の準備量を超えたドルの発行を余儀なくされ、ドル自体の信認も低下した。一方で、ドルの信認を回復するため米国がドルを回収すると国際流動性は低下してしまうという矛盾を抱えていた。1971年のニクソン・ショックで同体制は崩壊し、国際通貨制度は変動為替制へと移行した。