ドラゴン債(どらごんさい)
明確な定義はないが、一般的には香港、シンガポール、台湾を中心とする投資家層をターゲットに香港、シンガポールで発行される債券をいう。
そもそも、1980年代の初期に、香港、マレーシア、シンガポール、韓国、台湾、タイ、中国を中心とするアジア地域において外貨(ドル)資産が積みあがるにつれ、アジアにおけるドル債市場の発展と地域の投資対象の供給へのニーズが高まるなか、世銀が1984年にこれらの投資家層をターゲットに初の起債を行ったのがドラゴン債のはじめである。
しかしながら、当時その発行債券のほとんどは日本の投資家に所有される事になり、流動性の低下を招きその後発行も活発に行われなくなってしまった。ところが、1990年代初期以降、急速な経済発展に伴ってこの地域はさらに豊かになり、大きな投資資金を抱えるマーケットとしてユーロドル債やヤンキー債にとっても無視できない市場に成長した。
アジア開発銀行など優良発行体の起債を足掛かりとして、最近では多くのアジアの企業や銀行が変動利付きドラゴンドル債を起債しており、この数年、中でも韓国の銀行はこの市場において特に活発に資金調達を行っている。
ドラゴン市場の中心は香港、台湾、シンガポールの投資家であるが、一方インドネシア、マレーシア、中国、フィリピン、韓国、タイからも強い投資需要がある。主な投資家は、中央銀行、商業銀行、生保/年金、事業会社、投資顧問、エマージング市場投信、国際機関、地域の銀行等である。