無担保コールオーバーナイト物(むたんぽこーるおーばーないともの)

無担保コールオーバーナイト物(むたんぽこーるおーばーないともの)

分類:金利・為替

金融機関同士がコール市場において、担保なしで、短期資金を借り、翌日には返済する取引のことを「無担保コールオーバーナイト物」という。このときの貸し借りの金利を「無担保コールオーバーナイト物金利」と呼んでいる。

なお、金融機関が仮に市中で資金調達ができない場合は、金融機関は日本銀行に担保を差し出し、日本銀行より、資金調達をおこなう。

このときの貸出金利が、基準貸付金利(かつての公定歩合)である。

日本銀行は、金融政策決定会合において、金融経済情勢の検討の下で金融市場調節方針を決定しており、その中で無担保コールオーバーナイト物金利の誘導水準を示している。無担保コールオーバーナイト物金利が金融調節の操作目標に採用されている理由としては、無担保コールオーバーナイト物取引が金融機関の当日の資金過不足の最終調整の場であり、資金供給・吸収オペレーションによる誘導が比較的容易であること、また、他の取引のレートの判断基準になりやすく、期間が長めの金利形成にも影響をあたえやすいことなどが挙げられる。

日本銀行は、デフレからの脱却を目指すべく、1999年からゼロ金利政策を実施し、無担保コールオーバーナイト物をおおむねゼロ%に誘導していた。その後、2000年8月に日本銀行は、日本経済のデフレ懸念が払拭できる状況になったとして、ゼロ金利政策の解除に踏み切った。しかし、日本経済が再び景気の悪化に見舞われたため、日本銀行は2001年3月に量的緩和政策を導入した。量的緩和政策は日銀当座預金残高を金融政策の誘導目標とするものであったが、この措置により無担保コールオーバーナイト物金利は事実上ゼロ%となった。しかし、国内消費や企業の景況感が改善してきたことから、2006年3月に量的緩和政策の解除がおこなわれ、同年7月にはゼロ金利政策の解除もおこなわれている。

かつては、公定歩合の操作が短期金融市場に与える影響が大きく、金融政策の中心であったが、現在は、無担保コールオーバーナイト物金利が金融政策の誘導目標とされている。